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月次決算の早期化とAI|工程別にAIで短縮できる作業と人の判断が残る作業

AIが短縮するのは証憑の読み取り、仕訳候補の作成、入金の照合、文章の下書きで、計上の要否、見積り、数値の確定は人の判断として残ります。

「月次決算の早期化とAI」のイラスト
目次
  1. 月次決算の工程とAIが短縮できる作業の範囲
  2. 工程別のAIで短縮できる作業・人が判断する作業・確認の記録の一覧
  3. 証憑回収と仕訳入力でAI-OCR・自動仕訳が処理する範囲
  4. 預金照合と入金消込でAI消込が処理する範囲
  5. 未払・前払・減価償却・引当金の計上で人が判断する事項
  6. 試算表レビュー・増減分析・経営会議資料で生成AIが処理する範囲
  7. AI導入前後の月次スケジュールの例
  8. 上場準備企業が各種説明資料に書く月次決算の取りまとめ日数
  9. よくある質問
  10. 参考資料
この記事の要点

月次決算でAIが短縮できる作業は、証憑から日付・金額・取引先を読み取る作業、口座明細や証憑から仕訳候補を作る作業、入金と請求を金額や振込人名で突き合わせる作業、増減理由や会議資料の文章を下書きする作業です。計上の要否の判断、未払・前払の金額の確定、耐用年数や引当金の見積り、出力した数値と試算表の照合、経営者に出す数値の確定は、AIを入れた後も人が行います。

この記事では8工程について、freeeとマネーフォワード クラウドの公式ヘルプで確認したAI機能の範囲と、東証の各種説明資料に書く「月次決算の取りまとめに要する日数」との関係を表にまとめました。

月次決算の工程とAIが短縮できる作業の範囲

月次決算の早期化とは、月末から試算表の確定と経営会議資料の提出までに要する営業日数を短くすることを指し、証憑の回収、仕訳の入力、預金の照合と入金消込、未払・前払の計上、減価償却と引当金の計上、残高の確認、試算表のレビューと増減分析、経営会議資料の作成の各工程で、待ち時間と手作業を減らして実現します。

月次決算に要する日数は、どの工程が長いかで決まります。証憑が集まらずに仕訳入力が始められない会社もあれば、仕訳は早く終わるのに入金消込と残高確認に時間がかかる会社もあるからです。AIを入れる前に、自社の月次スケジュールを工程ごとに営業日で書き出し、どの工程が何日を占めているかを確かめておいてください。

会計ソフトに組み込まれたAI機能は、証憑の読み取り、口座明細からの仕訳候補の作成、入金と請求の突合、仕訳の税区分のチェックに集中しています。計上の要否や見積りの判断を代わりに行う機能は、この記事で確認した公式ヘルプの範囲にはありません。したがって、AIで短くなるのは証憑回収から入金消込までの前半の工程と、増減分析や資料作成の文章化で、未払・前払の計上や引当金の見積りは人の判断で進める工程のまま残ります。

AI機能の名称と動きは会計ソフトによって異なります。この記事の根拠は、freee会計とマネーフォワード クラウドの公式ヘルプ(2026年10月時点)に書かれている機能だけです。機能の詳細はfreee会計とマネーフォワード クラウド会計のAI機能の記事を参照してください。

工程別のAIで短縮できる作業・人が判断する作業・確認の記録の一覧

次の表は、月次決算の8工程について、AIが短縮できる作業、人が判断する作業、残す確認の記録を編集部で整理したものです。AI機能の列は、各社の公式ヘルプで確認した機能名を書いています。

工程AIで短縮できる作業(確認した機能)人が判断する作業確認の記録
1 証憑回収領収書・請求書の画像からの日付・金額・取引先の読み取り(freee ファイル自動記帳β、マネーフォワード AI-OCRから入力)未着の証憑の催促、証憑と注文・納品の対応関係の確認証憑の受領日と未着一覧、読み取り結果を確認した担当者名
2 仕訳入力口座明細・証憑からの仕訳候補の作成(freee 自動登録ルール・明細勘定科目推測、マネーフォワード 自動仕訳ルール・仕訳候補)候補の勘定科目・税区分・部門の適否、新規取引先や例外取引の科目決定候補を登録した人と承認した人、自動登録ルールの作成・変更の履歴
3 預金照合・入金消込入金明細と未決済の請求の突合候補の表示(freee 未決済取引の消込、マネーフォワード クラウド債権管理 一括消込)差額(振込手数料・源泉税・値引)の原因の特定、複数請求への充当順、不明入金の処理自動で消し込んだ件数、人が突き合わせた件数、未消込の一覧と処理方針
4 未払・前払の計上請求書の発行日・金額の読み取りによる計上候補の作成(AI-OCRの読み取り項目)当月費用に属するかの判定、請求書未着の役務の見積計上、前払期間の按分計上した根拠(契約・納品記録)と見積額の算定者、翌月の洗替の記録
5 減価償却・引当金固定資産台帳への登録後の償却費の自動計算(会計ソフトの機能で、AIではない)取得日・耐用年数・償却方法の決定、除却の判断、賞与引当金・貸倒引当金の見積り台帳の登録者と承認者、引当金の算定根拠と前提条件
6 残高確認税区分の誤りが疑われる仕訳の抽出(マネーフォワード AI会計チェック機能 消費税区分エージェント(β))預金残高と通帳の一致、売掛・買掛の補助科目残高の滞留の判断、仮勘定の精算残高確認表の作成者と確認者、滞留債権の一覧と対応
7 試算表レビュー・増減分析閾値を超えた科目の抽出と増減理由の下書き(生成AI)下書きの金額と試算表の照合、理由の事実確認、修正仕訳の要否照合した件数と不一致の修正内容、担当部門への確認記録
8 経営会議資料確定した数値とコメントからの資料文章の下書き(生成AI、freee AIアシスタント)経営者に出す数値の確定、見込みや方針に関する記述の内容資料の作成者・確認者・承認者と承認日
出所:freee ヘルプセンター、マネーフォワード クラウド会計・クラウド債権管理サポート(2026年10月閲覧)をもとに編集部が整理

工程5の償却費の自動計算は、AIではなく台帳に登録した耐用年数と償却方法から計算する従来からの機能です。AIを入れたから短くなる工程と、ソフトの設定を見直せば短くなる工程を分けて考えると、投資の優先順位が決めやすくなります。

「月次決算の早期化とAI」の内容を示す図
月次決算の8工程を横に並べ、AIが短縮する作業と人の判断が残る作業を上下に分けた図(イメージ)

証憑回収と仕訳入力でAI-OCR・自動仕訳が処理する範囲

freee ファイル自動記帳βと自動登録ルール

freeeのヘルプ「ファイル自動記帳βでファイルボックスから取引を自動記帳する」(更新日2026年10月16日)は、AIがファイルを解析して取引登録を自動で行う機能を説明しています。読み取る項目は発生日、金額、税率、業種で、読み取った内容が登録ルールに一致すればルールに沿って登録し、発生日と金額が一致する口座明細があれば紐付ける、という動きです。請求書は未決済取引として登録され、入出金の後に消込が要る点は手作業のままです。

同ヘルプは、自動記帳されない条件も列挙しています。OCRで日付か金額が読み取れない場合、推測された日付が過去の会計年度の場合、複数行のファイルで税率や行数が読み取り結果と一致しない場合は登録されません。推測には2種類のAIが使われ、両者の読み取りが食い違うと「発生日・金額の確認待ち」のメモタグが付き、人が「まとめて確認・修正」から登録する流れです。判断過程は「ファイル自動記帳による取引の根拠」で見られるので、確認者はこの画面で読み取り結果と登録内容を照らし合わせます。

口座明細については、ヘルプ「明細の自動登録ルールを設定する」(更新日2026年9月8日)が、収支区分・取引口座・取引内容・金額範囲を条件に、取引を「登録する」か「推測する」かを選べると説明しています。推測は入力内容を利用者が確認してから登録する方式で、登録は自動で取引を作成する方式です。どちらを選ぶかは、経理のAI活用と内部統制の記事で整理した、AIの出力を人が承認する運用とAIがそのまま確定する運用の分かれ目に当たります。

マネーフォワード クラウド会計のAI-OCRから入力と自動仕訳ルール

マネーフォワード クラウド会計の「AI-OCRから入力」機能は、証憑ファイルをアップロードすると仕訳候補が作られ、利用者が候補を確認・修正して登録する機能です(サポートページ「「AI-OCRから入力」機能の使い方」更新日2026年2月9日)。「仕訳候補詳細」画面のガイド(更新日2025年6月3日)によると、読み取る証憑情報は発行日、適格請求書発行事業者の登録番号、取引先名、今回請求額、繰越金額、税率・区分ごとの金額、源泉徴収税です。読み取り結果が反映された項目には「読取結果」と表示され、編集した項目は元の読み取り内容を下部に残して比較できます。

「仕訳候補」画面(更新日2026年9月11日)では、候補を1件ずつ登録するほか、チェックを入れて一括登録できます。取引日が会計期間外のもの、勘定科目が未選択の行があるもの、貸借が一致しないものは一括登録の対象外です。登録した仕訳は仕訳帳で種類を「AI-OCR」にして検索できるため、月次のレビューでAI経由の仕訳だけを抜き出して見直す運用が組めます。

口座明細は「自動仕訳ルール(通帳カード)」(更新日2026年8月18日)で、金融機関・口座、入出金区分、明細の一致条件、金額範囲を条件に、勘定科目・補助科目・部門・取引先・税区分などを設定した仕訳候補が作られます。ルールごとに「自動登録」の設定があり、オンにすると該当する候補を「クイック登録(β)」でまとめて仕訳登録できる仕組みです。

証憑回収の工程で短くなるのは、証憑を受け取ってから仕訳候補ができるまでの時間です。証憑そのものが月末までに集まらない問題は、AI-OCRでは解決しません。提出期限を月初第2営業日までとする社内ルールと、未着の一覧を担当部門に送る運用が別に要る、という構造です。

預金照合と入金消込でAI消込が処理する範囲

freeeのヘルプ「未決済取引を消込する(売掛金の入金・買掛金の支払いなど)」(更新日2026年9月11日)は、自動で経理に取り込んだ入金明細に対して消込の候補が表示され、正しければ登録、違えば「未決済取引の消込」タブで人が取引を選ぶ流れを説明しています。1件の入金を複数の未決済取引に充てる候補は、同じ取引先タグと支払期日を持ち、入金日から90日以内の取引で、合計が入金額と一致するか差額が990円以下の場合に表示されます(アドバンスプラン以上または旧プロフェッショナルプラン)。振込手数料や源泉所得税の差額は「差額を調整」で支払手数料や仮払金として別に計上し、金額が一致するまで登録できません。

マネーフォワード クラウド債権管理の「一括消込」(更新日2025年10月14日)は、請求情報と入金情報を、専用入金口座、学習履歴、得意先コード、得意先名カナと振込依頼人名カナ、番号で照合する機能です。得意先マスターと入金データのカナが完全一致するか学習履歴で紐づいていて、差額が0円または設定した誤差範囲内の行は自動でチェックが入り、自動で紐づかないデータは個別消込画面で人が突き合わせます。手動で消し込んだデータは学習され、次回以降の自動マッチングに使われます。

どちらの機能でも、人に残る判断は差額の原因と充当の順序です。値引や相殺で差額が出た入金は、営業担当者に確認しないと処理できません。消込の工程で残す記録は、自動で消し込まれた件数、人が突き合わせた件数、月末時点で未消込の一覧とその処理方針です。未消込の一覧は、翌月の残高確認でそのまま滞留債権の確認に使えます。

未払・前払・減価償却・引当金の計上で人が判断する事項

未払費用の計上では、請求書が届いた取引はAI-OCRが発行日と金額を読み取るので、計上候補を作るところまでは短くなります。残るのは、その請求が当月の費用かどうかの判定と、請求書が届いていない役務の見積計上です。月末までに請求書が届かない外注費や広告費は、発注書や納品記録から金額を見積もって計上し、翌月に洗い替えます。AIは発注書の金額を読み取れても、役務が当月に完了したかは判断できません。計上の根拠となった契約や納品記録と、見積額を算定した担当者を記録に残します。

減価償却は、freeeのヘルプ「固定資産の減価償却について」(更新日2026年10月16日)が、固定資産台帳へ資産を登録すると減価償却費の記帳を自動で行うと説明しているとおり、台帳に登録した後は人の作業がほとんどありません。ただし、同社の「5.6 固定資産の購入と減価償却を登録する」(更新日2026年9月15日)は、耐用年数は国税庁の耐用年数表から該当するものを調べて入力すると案内しています。取得日、耐用年数、償却方法の決定と、使わなくなった資産の除却の判断は人が行い、台帳の登録者と承認者を記録します。

引当金は、賞与引当金なら支給見込額と支給対象期間、貸倒引当金なら債権の区分と引当率を人が決める見積りの工程です。この記事で確認した公式ヘルプの範囲に、引当金の見積りを行うAI機能の記載はありません。月次では前月の算定根拠を引き継いで計上し、前提条件が変わった月にその変更内容を記録に残す運用になります。生成AIに算定表の作成を手伝わせる場合でも、前提条件と計算結果は担当者が確定し、算定根拠の文書に前提条件を書いておきます。

試算表レビュー・増減分析・経営会議資料で生成AIが処理する範囲

残高確認と試算表レビューの工程で公式ヘルプに書かれたAI機能は、マネーフォワード クラウド会計の「AI会計チェック機能 消費税区分エージェント(β)」(更新日2026年2月6日)です。チェックする月と勘定科目を選んで実行すると、未確定勘定の使用、貸借対照表科目への課税系税区分、助成金や香典に関する摘要への課税系税区分、証憑の金額と仕訳の金額の不一致などが抽出され、理由と確認ポイントが表示されます。人は指摘理由を読んで仕訳の正否を判断し、必要な場合だけ編集します。画面名に(β)が付く機能で、同ページは現在一部の事業者でのみ利用でき、対象は「マネーフォワード クラウドパートナー」に顧問先として登録され会計事務所を介してクラウド会計を使う利用者だという説明です。同ページは、機能を業務のアシスタントと位置づけ、財務・税務・法務の専門的な見解を提供するものではないと注意書きしています。

増減分析では、生成AIに推移表を渡して閾値を超えた科目の抽出と理由の下書きをさせると、文章化の時間が短くなります。出力した金額を試算表と照合し、理由を担当部門に確認してから確定する手順は、月次決算の増減分析に生成AIを使う手順の記事のとおりです。この工程で残す記録は、照合した件数と不一致の修正内容、担当部門への確認記録の2点に分かれます。

経営会議資料の文章は、確定した数値と増減理由のコメントから生成AIが下書きを作れます。freeeの「freee AIアシスタントとは」(更新日2026年10月1日)は、質問や指示に応じてレポートや表を作成し、ファイルとしてダウンロードできること、freeeへの登録など、データを変更する操作の前には確認が求められ、承認されるまで実行されないことを説明したページです。同社の「よくある質問」(更新日2026年10月1日)は、法改正に自動では対応しないこと、利用者が入力した内容を外部のAIモデルの学習に利用しないことを明記した資料です。資料に載せる数値の確定と、見込みや方針に関する記述の内容は、下書きの出来にかかわらず経理責任者と経営者が決めます。

AI導入前後の月次スケジュールの例

次の例は、月商3億円程度、経理担当者2名の会社を想定した月次スケジュールで、営業日はいずれも架空です。導入前は8営業日目に経営会議資料を提出していた会社が、証憑回収の期限の前倒し、AI-OCRと自動仕訳、AI消込を入れて5営業日目に提出する状態を想定しています。

工程導入前の完了日導入後の完了日短縮した作業人が行う作業
1 証憑回収第3営業日第2営業日提出期限を第2営業日に前倒しし、スマートフォンのアプリで撮影した画像をAI-OCRが読み取る未着一覧の送付、注文との対応の確認
2 仕訳入力第5営業日第3営業日口座明細と証憑からの仕訳候補の作成候補の科目・税区分の確認、例外取引の科目決定、承認
3 預金照合・入金消込第5営業日第3営業日金額・振込人名による消込候補の表示差額の原因特定、未消込一覧の作成
4 未払・前払の計上第6営業日第3営業日請求書の発行日・金額の読み取り当月費用の判定、未着役務の見積計上
5 減価償却・引当金第6営業日第3営業日―台帳の更新、引当金の前提条件の確認
6 残高確認第7営業日第4営業日税区分の誤りが疑われる仕訳の抽出預金・売掛・買掛の残高照合、仮勘定の精算
7 試算表レビュー・増減分析第7営業日第4営業日閾値を超えた科目の抽出と理由の下書き金額の照合、理由の事実確認、修正仕訳
8 経営会議資料第8営業日第5営業日資料文章の下書き数値の確定、記述内容の決定、承認
出所:編集部作成のスケジュール例(営業日数は架空)

この例で短縮の幅が大きいのは、工程1から4までの前半です。後半の残高確認とレビューは、前半が早く終わることで着手日が前倒しになるだけで、作業そのものの時間は変わりません。工程5の減価償却と引当金は、AIを入れても完了日が前半に合わせて動くだけです。

月次決算の記録の例(数値は架空)2026年9月分。証憑412件のうちAI-OCRで読み取り、ルールに一致して自動登録されたもの358件、確認待ち54件を第3営業日に担当者が登録。入金明細186件のうち自動で消込候補が一致したもの171件、差額ありで人が突き合わせたもの13件、未消込2件(得意先04の値引、不明入金1件)は営業部に確認中。未払計上は請求書未着の外注費2件を発注書の金額で見積計上。引当金は前月の前提条件を継続。試算表の増減分析は生成AIの下書き16科目を試算表と照合し、金額の不一致1件を修正。第5営業日に経理部長が承認。

記録に残す項目は、AIが処理した件数と人が処理した件数、未処理の一覧、確認者と承認者と日付です。件数を毎月記録しておくと、自動で処理できた割合の推移から、自動登録ルールの見直しが必要な時期が分かります。

上場準備企業が各種説明資料に書く月次決算の取りまとめ日数

グロース市場への上場申請では、東京証券取引所の「新規上場申請者に係る各種説明資料の記載項目について」(最終更新日2026年3月25日、2026年4月以降に上場申請を行う会社から適用)に沿って各種説明資料を作ります。同文書の「2(3) 適時開示体制」は、記載事項として、決算発表に要する日数(各四半期及び通期)、月次決算の取りまとめに要する日数、適時開示体制の充実のための今後の計画、経理業務のアウトソーシングの状況(専門職者の非常勤雇用等を含む)などを挙げた文書です。「3(3) 予算統制」には年度予算の月次管理・統制の方法及び予算見直し手続きが、「4(2) 添付書類」には申請事業年度の月次業績管理資料の写し(f)が含まれます。

月次決算の取りまとめに要する日数は、AIの導入効果を営業日数で書ける項目です。日数を書くときは、前の節のスケジュール表のように、工程ごとにAIが処理した作業と人が確認した作業を分けた月次スケジュールと、毎月の記録を添えられる状態にしておきます。日数だけが短くなり、誰が何を確認したかの記録がない状態では、同じ資料の「2(1) コーポレート・ガバナンス」に書く内部統制の整備・運用状況の記述を裏付ける資料がないことになります(編集部の整理)。上場審査と経理のAI利用の関係は、上場準備企業の経理AI導入の記事に書いています。

月次業績管理資料の写しは添付書類になるため、生成AIが下書きした資料をそのまま添付するなら、資料の作成者・確認者・承認者と承認日が資料自体に残っている必要があります。月次決算の日数の短縮と記録の整備は、同じ月次スケジュールの中で並行して進める作業です。

よくある質問

月次決算でAIが最も短縮する工程はどこですか。

証憑の読み取りから仕訳候補の作成までと、入金と請求の突合です。freeeのファイル自動記帳βやマネーフォワードのAI-OCRから入力は証憑から日付・金額・取引先を読み取って仕訳候補を作り、消込機能は金額や振込人名で入金と請求の候補を突き合わせます。未払・前払の計上や引当金の見積りは、AIを入れた後も人の判断で進める工程です。

減価償却費の計上はAIで自動化できますか。

減価償却費の自動計算は、固定資産台帳に登録した耐用年数と償却方法から計算する会計ソフトの従来からの機能で、AIによるものではありません。freeeのヘルプは、耐用年数を国税庁の耐用年数表から調べて入力するよう案内しています。取得日・耐用年数・償却方法の決定と除却の判断は人が行い、台帳の登録者と承認者を記録します。

AI消込で入金と請求が一致しなかった場合はどう処理しますか。

freeeの消込では、振込手数料や源泉所得税の差額を「差額を調整」で支払手数料や仮払金として別に計上し、金額が一致するまで登録できません。マネーフォワード クラウド債権管理の一括消込では、設定した誤差範囲外の差額は自動消込の条件を満たさず、個別消込画面で人が突き合わせます。値引や相殺による差額は営業担当者に原因を確認し、未消込の一覧と処理方針を月次の記録に残します。

上場準備企業は月次決算の日数をどこに書きますか。

東京証券取引所の「新規上場申請者に係る各種説明資料の記載項目について」(最終更新日2026年3月25日)の「2(3) 適時開示体制」に、月次決算の取りまとめに要する日数を書きます。同じ項目には決算発表に要する日数や経理業務のアウトソーシングの状況も含まれ、「4(2) 添付書類」には申請事業年度の月次業績管理資料の写しが入ります。日数を書くときは、工程ごとにAIが処理した作業と人が確認した作業を分けた月次スケジュールと毎月の記録を用意しておきます。

参考資料

  1. ファイル自動記帳βでファイルボックスから取引を自動記帳する(freee ヘルプセンター、更新日2026年10月16日) (最終確認 2026年10月20日)
  2. 明細の自動登録ルールを設定する(freee ヘルプセンター、更新日2026年9月8日) (最終確認 2026年10月20日)
  3. 明細勘定科目推測の使い方(freee ヘルプセンター、更新日2026年10月16日) (最終確認 2026年10月20日)
  4. 未決済取引を消込する(売掛金の入金・買掛金の支払いなど)(freee ヘルプセンター、更新日2026年9月11日) (最終確認 2026年10月20日)
  5. 未決済取引の消込についてのよくある質問と対処方法(freee ヘルプセンター、更新日2026年4月14日) (最終確認 2026年10月20日)
  6. 固定資産の減価償却について(freee ヘルプセンター、更新日2026年10月16日) (最終確認 2026年10月20日)
  7. 5.6 固定資産の購入と減価償却を登録する(freee ヘルプセンター、更新日2026年9月15日) (最終確認 2026年10月20日)
  8. freee AIアシスタントとは(freee ヘルプセンター、更新日2026年10月1日) (最終確認 2026年10月20日)
  9. freee AIアシスタント よくある質問(freee ヘルプセンター、更新日2026年10月1日) (最終確認 2026年10月20日)
  10. 「AI-OCRから入力」機能の使い方(マネーフォワード クラウド会計サポート、更新日2026年2月9日) (最終確認 2026年10月20日)
  11. 「仕訳候補詳細」画面の使い方(AI-OCRから入力)(マネーフォワード クラウド会計サポート、更新日2025年6月3日) (最終確認 2026年10月20日)
  12. 「仕訳候補」画面の使い方(AI-OCRから入力)(マネーフォワード クラウド会計サポート、更新日2026年9月11日) (最終確認 2026年10月20日)
  13. 「自動仕訳ルール(通帳カード)」画面の使い方(マネーフォワード クラウド会計サポート、更新日2026年8月18日) (最終確認 2026年10月20日)
  14. 「AI会計チェック機能 消費税区分エージェント(β)」画面の使い方(マネーフォワード クラウド会計サポート、更新日2026年2月6日) (最終確認 2026年10月20日)
  15. 一括消込(マネーフォワード クラウド債権管理サポート、更新日2025年10月14日) (最終確認 2026年10月20日)
  16. 東京証券取引所「新規上場申請者に係る各種説明資料の記載項目について」最終更新日2026年3月25日 (最終確認 2026年10月20日)

本記事は2026年10月20日時点で確認できた法令・資料に基づいています。個別の取引への当てはめは、顧問税理士や監査法人と確認してください。

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