請求書とノートPCを見比べる経理担当者(イラスト)

AI経理のはじめかた / 実務ガイド 01

AI経理、
どこから始める?

請求書1枚から始める、最初の1か月の手順書

毎月届く請求書を1枚、AIに読ませるところから。道具・契約・置き場をそろえ、4週間で一巡させるまでを、実際の画面と例でたどります。

全16ページ約20〜30分2026.10 版

はじめに / このガイドについて

管理部でAIを使うと、作業がレビューに変わる

読む・判定する・作る・照合するをAIに任せると、人の仕事は確認と承認に変わります。このガイドは、その最初の1か月を請求書処理でたどります。

こんな方へ

書類を抱えて考える経理担当者(生成イラスト)

IPO準備企業の経理担当・管理部長

毎月の入力と照合に追われている。作業を減らし、確認と改善に時間を使いたい。

顎に手を添えて考える経営者(生成イラスト)

経営者・CFO/一人経理

AIは役立ちそうだが、使いどころが分からない。任せられる仕事を見つけ、まず試したい。

読み終えると決まること

01最初の業務請求書処理から始める理由と範囲
02道具・契約・情報Claude、有料プラン、4つの設定
03明日やること実際の流れとチェックリスト

このガイドの流れ

取引先・帳票・金額はすべて架空例です。「月2日→レビュー1〜2時間」は著者の運用例で、成果を保証するものではありません。

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書02 / 16

はじめに / 避けたいこと

最初に避けたい3つの進め方

始める前・始めるとき・結果が出たあとで、避けたいことが1つずつあります。どれも「小さく始めて、人が確かめる」に戻せば防げます。

01始める前やりがちAIの比較に時間をかける→こうする使うAIを1つ決めて、請求書を1枚読ませる。とにかく、まずは触ってみる。
02始めるときやりがち全業務を一度にAI化する→こうする請求書だけに範囲を絞って活用する。売上・給与・決算まで同時に始めると、問題が起きたときに原因を把握しにくい。
03結果が出たあとやりがちAIの出力を確認せずに使う→こうするAIの出力は下書きとして扱い、原本と見比べてから人が承認する。間違いが見つかったら手順やルールを直し、翌月に同じ間違いが起きないようにする。

小さく始めて、出力は人が確かめる。

資料をファイルボックスに仕分ける経理担当者(生成イラスト)
AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書03 / 16

00 / はじめの一歩 AIでできること

AIで、経理の何ができるか ― 請求書1枚で見る5つの作業

AIは資料を読み、自社のルールで判定し、取込データを作り、資料どうしを照らして計算し直すところまでできます。タブを切り替えると、架空の請求書1枚でそれぞれの例が見られます。

01 読む

システム利用契約書架空例
相手方青葉商事
契約期間2026年4月〜2027年3月
利用料月額 30,000円(税抜)
支払条件毎月末締め・翌月末払い
更新1か月前までに申出がなければ自動更新

「読む」の例

契約の条件を、会計の予定に落とす

読んだ条件会計での扱い
期間 12か月毎月、費用を計上する
33,000円/月税込額。消費税3,000円を区分
翌月末払い月末に未払計上、翌月末に支払
自動更新2027年2月末に更新・解約を確認

請求書なら日付・取引先・金額・税額を一覧に。読めない値は推測で埋めず、保留にします。

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00 / はじめの一歩 AIと人の役割

AIと人の役割 ― 作業はAIに、判断と承認は人に

請求書1枚の流れで見ると、人が手を動かすのは入口・要確認・出口の3か所だけになります。
読む・候補を出す・作る・照らし合わせるはAIの作業。AIは根拠を添えて渡し、人は確かめて決めます。

01届く
02読む
03判定
04作る
05照合
06承認
AI作業
人判断と承認
↑ 人 → AI 資料を渡す↓ AI → 人 根拠・保留・差額をつけて渡す
01 届く・人資料をそろえるメール・紙・Webの請求書を1か所に集め、対象月でそろえる
02 読む・AI項目を読み取る日付・取引先・金額・税額。読めない値は推測せず保留
03 判定・AI科目の候補を出す判定ルール表を参照し、根拠のルールIDを添える
04 作る・AI取込データを作る会計ソフトの列順で、取込用の一覧にする
05 照合・AI突合・検算する請求書・明細・仕訳を照らし、合わないものは理由つきで要確認へ
05 照合・人要確認だけ判断する原本を見て直し、判定ルール表に1行足す
06 承認・人承認して支払う一致した分もサンプルで原本と見比べ、承認記録を残す
AIに任せる作業
  • 件数が多く、毎月くり返す
  • 手順を文章で書ける
  • 合計や原本で確かめられる
人に残す判断と承認
  • ルールにない例外
  • 支払・登録など、取り返しのつかない操作
  • 説明責任がともなう承認
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00 / はじめの一歩 最初の業務

請求書処理から始める、3つの理由

届いた請求書の処理から始めましょう。毎月あるので、手順を育てやすい業務です。P.04の5つの作業も、すべてこの業務に含まれます。

  • 毎月必ずある

    今月つくった手順を、来月すぐに試せる。年12回、直す機会がある。

  • 読み取る項目が共通している

    届く形式が違っても、取引先・日付・金額・税額は共通。同じ手順を繰り返し使える。

  • 変化を時間で実感できる

    準備・処理・レビューの時間を月ごとに比べられる。効果を数字で説明できる。

著者の運用例 / 月◯◯件の請求書処理にかかった人の作業時間

これまで月2日人が手作業で:読み取り・入力・突合・仕訳作成
いま1〜2時間人はレビューだけ(作業はAI)

著者の運用例です。レビュー時間と全作業時間は分けて考えてください。

届いた請求書をスキャナーで読み取る担当者(生成イラスト)
AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書06 / 16

01 / 請求書処理を回す 実際の流れ

実際の請求書処理 ― 1か月分をこう回す

8月分の請求書10件(架空)を例に、最初の1か月の処理を順に追います。人がやるのは、集めて頼む・要確認を見る・承認する。あいだの作業はAIがまとめて行います。

01 集める(人)

経理 / 請求書 / 2026-08
  • PDFINV-0805_青葉商事.pdf
  • PDFINV-0812_港通信.pdf
  • PDFINV-0818_みなとシステム.pdf
  • PDFINV-0820_北浜運送.pdf
  • PDFINV-0831_東雲オフィス.pdf
  • ほか5件(計10件)

人がやること

届いた請求書を、フォルダに集める

  • メールの添付・Webでダウンロードしたもの・紙をスキャンしたものを1か所へ
  • ファイル名は「請求書番号_取引先」にそろえる
  • まだ届いていないものは、未回収として一覧に残す

できるもの対象月の請求書10件がそろったフォルダ

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書07 / 16

01 / 請求書処理を回す 手順を育てる

直した科目は次からルールに、うまくいった手順はスキルに

1か月回したら、直したことを2つの形で残します。ルールは「何を根拠に判断するか」、スキルは「どの順番で何をするか」。2つがそろうと、翌月はAIが同じ品質で処理します。

①直した科目は、次からルールに

AIが推測支払手数料ルールがないので、候補を出して保留
人が直す通信費取引内容と自社の会計方針で判断し、AIに修正を指示
AIがルール化ルール表に1行追加人が直した内容を、AIが条件つきのルールにして追記。人は確認するだけR-014|みなとシステムの定額利用料 → 通信費|対象外:導入費用・機器代|適用日 2026-09-01

②うまくいった手順は、スキルに

1か月回せたうまくいった流れP.07の「集める → 頼む → 見る → 承認」が、1か月分うまく回った
AIがスキル化「今回のやり方をスキルにして」と頼むAIが手順書(スキル)の下書きを作る。人は中身を確かめて保存するだけ

スキルに入る5つの要素入力(どの資料)/手順(どの順番)/判定ルール(何を根拠に)/チェック(何を確かめる)/出力(どんな形で)

翌月

AIはルール表を根拠に科目の候補を出し、スキルの順番で処理する。人は「8月と同じように、9月分をお願い」と頼むだけ。

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書08 / 16

02 / 道具と準備 使うAI

使うAIは何でも大丈夫 ― 迷ったらClaudeがおすすめ

このガイドの手順は、どのAIでもそのまま使えます。ChatGPTでも、会社で決まっているAIでも構いません。まだ決めていなければ、経理で使いやすいClaudeをおすすめします。

Claudeロゴ迷ったら、これ
会計ソフトとつなぎやすい

freee・マネーフォワードが、Claude向けの接続手順を案内している

手順を保存して繰り返せる

うまくいった依頼文と手順を「スキル」として残し、翌月も呼び出せる

長い資料を根拠つきで読める

契約書・規程・明細をまとめて読み、どこを読んだかを示して返す

ほかのAIを使う場合は、名前を読み替えるだけ

外部データにつなぐ手順を保存して繰り返す会社で管理するプラン個人の有料プラン
Claudeコネクタスキル・プロジェクトTeam/EnterprisePro/Max
ChatGPTアプリ(コネクタ)GPTs・プロジェクトBusiness/EnterprisePlus/Pro

どのAIでも、まずは請求書1枚から。Claudeを使えない場合の進め方も、相談できます。

操作例はClaudeで書いています。公式情報確認:2026年10月16日。対応範囲・名称はプランと時期で変わります。

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02 / 道具と準備 道具は増やさない

道具は増やさない ― 足すのはAIと、2つの文書だけ

AIを使うために、新しいサービスを入れる必要はありません。会計ソフトも、承認の流れも、資料の置き場もいまのまま。足すのは、AIと、AIが参照する2つの文書です。

いまのまま変えない・会社ごとに違ってよい

  • 会計ソフトいま使っているもの
  • 申請・承認の流れいまのワークフローや紙の承認
  • 資料の置き場いまの共有フォルダ
+

足すのはこれだけAIと、AIが参照する2つの文書

  • AI使うAIを1つ(P.09)
  • 判定ルール表「この取引はこの科目」を1行ずつ。スプレッドシート1枚
  • 手順書(スキル)どの順番で何をするか。うまくいった依頼文から作る
なぜ増やさないか

新しいサービスを足すたびに、データの置き場・設定・覚えることが増えます。ルール表と手順書なら、AIや道具を替えても、やり方が会社に残ります。

判定ルール表の例スプレッドシート

ID条件科目
R-012システムの月額利用料通信費
R-013振込手数料(当社負担)支払手数料
R-020事務所の月額賃料地代家賃

手順書(スキル)の例文章1枚

  1. 入力対象月の請求書フォルダ・判定ルール表
  2. 手順読む → 判定 → 作る → 突合 → 検算
  3. 出力取込一覧・要確認リスト(理由つき)
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02 / 道具と準備 契約

業務で使うなら、有料プランが前提

無料プランで会社の情報は扱いません。複数人で使うなら法人プラン、まず一人で試すなら会社の許可を得て個人の有料プランから始め、人数が増えたら法人プランへ移します。

複数人で使う

法人プラン

Claude Team / Enterprise

  • 業務データは標準で学習対象外個人ごとの設定に頼らずに済む
  • 利用者・権限・請求を会社で管理異動・退職時のアクセス解除も会社側でできる
  • Teamは2人から150人までそれ以上や統制の要件が強い場合はEnterprise
  • 管理者を先に決める招待・削除・利用上限の設定を担当する人

最初の操作:管理者を決め、メンバーを一人ずつ招待する

まず一人で試す

個人の有料プラン+会社の許可

Claude Pro / Max

  • 「AIモデルの改善にご協力ください」をオフ有料でも、学習への利用は設定で止める
  • 最初は架空データで試す実データは、許可と設定の確認が済んでから
  • 個人アカウントを共有しない同僚と使うなら、その時点で法人プランへ
  • 移るときは正本ごと手順書・判定ルール・成果物を会社の共有フォルダへ

最初の操作:設定 → プライバシーで、学習への利用をオフにする

プラン名は2026年10月16日時点。有料契約と学習設定は別のものです。保存・共有・権限は次のページで確認します。

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書11 / 16

02 / 道具と準備 情報

会社の情報を守る4つの設定

「学習に使われない」だけでは足りません。学習・保存・権限・出力先の4つを決めてから、実データを入れます。最初の1か月は、架空データと検証用フォルダで十分です。

学習:入力した情報がAIの改善に使われない

起きうること

入力した会社の情報が、AIの改善(学習)に使われる可能性がある

→
最初の1か月はこう決める

法人プランを使う。個人プランなら「モデルの改善への協力」をオフにする

実データを入れる前に、5つを確認

  1. 社内のAI利用ルールと、使ってよい情報の範囲
  2. 学習への利用がオフ(または法人契約の範囲内)
  3. つないだのは経理の検証用フォルダだけ
  4. AIの出力の保存先が、原本とは別に決まっている
  5. 給与・口座などの個人情報は、最初の1か月は入れない
AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書12 / 16

02 / 道具と準備 準備

準備は5ステップ ― 慣れていれば1時間

プログラミングは要りません。契約・アプリ・置き場・設定を決めて、架空の請求書1枚を読ませるところまでで、準備は完了です。

STEP 0115分契約を決める

会社の許可を得て、チームはTeam、一人ならPro。個人プランは学習への利用をオフ。

累計 15分
STEP 025分アプリを入れる

claude.com/download からClaude Desktopを入れて、ログインする。

累計 20分
STEP 0315分資料の置き場をつなぐ

共有フォルダを「設定 → コネクタ」で接続。検証用フォルダだけ。つなげなければ添付でよい。

累計 35分
STEP 0410分4つの設定を確認

学習・保存・権限・出力先を、それぞれの設定画面で確かめる。

累計 45分
STEP 0515分架空の請求書で試す

P.07の依頼文で1枚読ませ、返ってきた内容を原本と見比べる。

累計 60分

あとでいいこと

  • 会計ソフトとの接続:最初はCSVの書き出しと取込で一巡できる。2か月目以降でいい
  • スキルづくり:1か月回してから、AIに頼んで作る(P.08)
  • 完璧なフォルダ設計:「原本」と「AIの出力」を分けるだけで始められる

詰まったら

設定画面・会計ソフトとの接続・スキルの作り方は、別途ご案内します。まずは架空の請求書1枚を読ませるところまでで十分です。詰まったら、P.16からご相談ください。

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書13 / 16

03 / 次へ

次の業務も同じ型で広げる

請求書で一巡したら、支出系 → 人件費系 → 収入系 → 決算・統制系の順に、一業務ずつ広げます。流れは請求書と同じ「集める → 頼む → 見る → 承認」。変わるのは、集める資料と見るポイントだけです。

支出系:カード明細・立替経費

集める(人)

カード明細・領収書・立替の申請

→
頼む・作る(AI)

明細と領収書を照合し、判定ルールで仕訳の候補を作る

→
見るポイント(人)ここが変わる

重複・領収書の不足・私的利用の疑い

→
承認・残す(人)

承認し、直したことをルール表に1行

1業務ずつ前の業務が1か月回ってから、次の業務へ進む
ルール表は業務ごとに判定ルール表は業務ごとに1枚つくり、混ぜない
人件費系は範囲から給与データは、見られる人とつなぐ範囲を先に決める

業務ごとの詳しいやり方は、順次ご案内します。どの業務から広げるか迷ったら、ご相談ください。

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書14 / 16

明日の一歩 / 準備チェック

明日からの準備チェックリスト

最初の1行は「試す業務と請求書を選ぶ」。できたところから印を付けてください。チェックはこのブラウザ内にだけ保存されます。

0 / 10 完了
チェックリストの最初の項目に印を付ける担当者(生成イラスト)

迷ったら

P.07の依頼文をコピーして、架空の請求書1枚で試すところから。

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書15 / 16

03 / 次の一歩

AIで、バックオフィスを理にかなった方法に

このガイドだけで回せる会社は、そのまま進めてください。月次が遅い、人はいるのに忙しい、辞めたら回らない。ひとつでも心当たりがあるなら、AIを軸にバックオフィス全体を設計し直すのが早道です。作業はAIに、判断は人に。その形を一緒につくります。

01経営状態の把握よくあるお悩み数字が上がってくるのが遅く、資金繰りの見立てが立たない→一緒にやることAIで集計と照合を自動化し、月次を早く締める体制に
02業務の設計よくあるお悩み人はいるのにいつも忙しい。どう直せばいいか分からない→一緒にやることAIが作り、人が確かめる形に業務フローを設計し直し、無駄なコストを減らす
03運用と改善よくあるお悩み担当者が辞めると回らない。帳簿の作り方が分からず直せない→一緒にやること手順書とルールをAIが読める形で残し、担当者が替わっても同じ品質で回す
1〜2週間検討現状の棚卸しと方針1か月実装AIの接続・ルール表・手順書〜3か月運用・改善一緒に回して直すゴール内製化自社で続けられる状態
  • 監査法人と主幹事証券会社で上場準備に携わった公認会計士が担当
  • 手を動かして伴走。手順書とルールの正本は自社に残す
  • オンラインで完結。まずは30分の無料相談から

まだ漠然としていても、なんでもご相談ください。

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公認会計士 石塚康一の写真
監修・ご相談石塚 康一株式会社プライムコンサルティング 代表取締役

公認会計士

監査法人のIPO部門と主幹事証券会社の公開引受部を経て、上場準備企業の内部統制・会計論点・開示書類の作成を支援しています。AIを入れたあとの内部統制や、監査法人への説明もあわせてご相談いただけます。

  • 前職監査法人 IPO部門
  • 前職主幹事証券会社 公開引受部
  • 現在株式会社プライムコンサルティング 代表取締役
  • 実績上場準備の支援 数十社

AIで回る形を、自社で続けられるまで一緒につくります。

AI経理のはじめかた | 最初の1か月の手順書16 / 16
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